うぅ…。
俺はコイツのこういうところがキライだ。
かわいい顔してるくせに、驚くほど大胆で、行動的。
いつだって冷静で、物事の本質をスルッと飲み込む。
――コイツには敵わない
そう思わせる唯一のオンナ。
ソレが目の前にいる、コイツ
“一ノ瀬理央”だ。
全てを悟りきった顔をして
迷いのない視線を向けて
俺にまっすぐぶつかってくる、一ノ瀬。
そんなアイツに向き合うのがなんだか苦しくなってきて。
フッと視線を窓に向けながら
「つーか……。反則だろ、今ソレを口にすんのは。」
ため息混じりに呟くと
「そう？？
“こんな時”だからでしょ？？
センパイが弱ってる今が攻め時でしょうが。
今攻めなくて、いつ攻めるのよ。」
にっこりと笑って。
一ノ瀬は悪魔な一言を口にする。
