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同じ頃。
俺はスカイライナーに乗って、成田を目指していた。
伊織にはこっぴどく振られた。
完膚なきまでに叩きのめされた。
すっげぇ、すっげぇ、傷ついた。
マジで途中で殴ってやろうかと思うくらいに、初めて伊織にムカついた。
でも…不思議と納得できた。
“これでよかったんだ”と思えた。
だって…さ??
きっと部長は伊織を幸せにしてくれるに違いないから。
伊織が部長じゃなきゃダメだと言ったのと同じように
部長も伊織じゃなきゃダメなんだ。
きっと二人の足りない何かを補い合うのは
お互い以外にありえないんだろう。
伊織にかかわりたいと、繋がっていたいと強く思っていたけど…
きっとこれでよかったんだ。
長く、儚い、夢のような初恋は
これでおしまい。
伊織は今日から思い出の人になる。
これで……、よかったんだ。
手のひらの中に握られた、エンゲージリング。
俺は空いたコーヒーの缶の中にソレを無理やりねじ込んで。
伊織の幸せを願いながらダストボックスの中にガコンと捨てた。



