君を想うとⅢ~True love~




   …☆…☆…☆…☆…☆…☆…



同じ頃。
俺はスカイライナーに乗って、成田を目指していた。




伊織にはこっぴどく振られた。
完膚なきまでに叩きのめされた。



すっげぇ、すっげぇ、傷ついた。
マジで途中で殴ってやろうかと思うくらいに、初めて伊織にムカついた。





でも…不思議と納得できた。
“これでよかったんだ”と思えた。



だって…さ??
きっと部長は伊織を幸せにしてくれるに違いないから。

伊織が部長じゃなきゃダメだと言ったのと同じように
部長も伊織じゃなきゃダメなんだ。


きっと二人の足りない何かを補い合うのは
お互い以外にありえないんだろう。






伊織にかかわりたいと、繋がっていたいと強く思っていたけど…
きっとこれでよかったんだ。






長く、儚い、夢のような初恋は
これでおしまい。



伊織は今日から思い出の人になる。






これで……、よかったんだ。







手のひらの中に握られた、エンゲージリング。





俺は空いたコーヒーの缶の中にソレを無理やりねじ込んで。




伊織の幸せを願いながらダストボックスの中にガコンと捨てた。