オジサンのレッテルのついた桐谷慎を思い浮かべて、笑いを浮かべて。
ニマニマしながらしんちゃんの手をキュッと握りると
「ふうーん。」
少し納得したように、しんちゃんは頷く。
しんちゃんとお父さん。
そして優しい目で2人を見つめるお母さん。
そんなあたたかな眼差しの中で、穏やかな時間を過ごした私。
しんちゃんとはすっかり仲良くなって“伊織ちゃん”と呼んでくれる仲にまでなった。
ボール遊びに、追いかけっこ。
そして長い休憩と、おやつタイム。
たっぷり遊んで、
いっぱいしゃべって。
無邪気な子供のような時間を過ごしていたら
気づけば時計の針は17時を指していて。
空はうっすらとオレンジ色に染まり始めていた――……。



