しんちゃんに繋がれた手は、柔らかで、あったかくて、小さくて…。
私の中に隠れた母性本能ってヤツをキュンキュン刺激してくれる。
――ふふっ。同じ“シン”なのに大違い。
どこまでも俺様で、スナオじゃなくて、淋しがりやな桐谷慎を思い出してププッと笑う。
「おねぇちゃん、どうしたの??」
突然脈絡もなく話し始めた私をじっと見て、しんちゃんは不思議そうに私の顔を覗き込む。
「ううん。なんでもないの。」
「ほんとに??」
「うん。しんちゃんと同じお名前のオジサンを知ってるんだけどね??
そのオジサンを思い出して、笑っちゃったの。」
ふふっ。
オジサン…か。
桐谷慎をオジサン呼ばわりなんてしたの初めてだけど…
しんちゃんから見れば、29歳の男の人なんて十分オジサンだよね。



