今までしゅーちゃんに向けられたコトのない、軽蔑の瞳。
「……っ…。」
その瞳を向けられるとイイコの伊織が顔を出す。
ホントの自分をさらけ出すのが怖くなる。
でも――……
――揺れるな、迷うな、伊織。
ここで負けたら、すべてが終わる。
私の決意が壊れてしまう。
しゅーちゃんの見せた絶望の表情に負けないように、私は両手をギュッと握り締めて、しゅーちゃんをまっすぐ見つめ直す。
そして…
フゥと軽く息を吐いて、ゆっくりと語り始める。
「しゅーちゃん。私はズルイ女なんだよ。
桐谷慎もしゅーちゃんの手も離せない、離したくない、ズルイ女なの。」
「……。」
「私はね?きっとあの時、桐谷慎が手を離してくれなかったら本当の気持ちにはフタをしたまま、ズルイ自分には気づかないフリして彼と付き合っていたと思う。」



