「私はしゅーちゃんを選べない。
一緒にサンフランシスコには行けない。
だから…この指輪は…もらえない。」
「…なんで??」
「私が好きなのは…しゅーちゃんじゃない。
私が好きなのは……桐谷慎……たった一人だけだから。」
目の前には酷く傷ついた表情をした、しゅーちゃん。
淋しそうに私を見つめる、しゅーちゃん。
その表情を見て、思わず目を逸らしそうになる、自分。
逃げ出したくなる、自分。
でも…そのたびに自分に問いかける。
苦しいのは私じゃない。
つらいのも私じゃない。
泣くな。
勘違いするな。
目を逸らすな、伊織。
しゅーちゃんを"選ばない"選択をしたのは、私。
傷つけるとわかってココにいるのも、私。
それなら…
決して逃げちゃいけない。
中途半端な優しさは、しゅーちゃんも、理央も、自分自身をも傷つける。



