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布団を抱えながら泣いて、どれくらいたっただろう。
カーテンから差し込む光が、柔らかで淡い光から鋭く強い光に変わっている。
時計は、10時30分。
運命の時間の約6時間前だ。
泣いて少し腫れぼったくなったまぶたに、重いカラダ。
起き上がりたくない衝動にかられる弱虫なカラダに鞭を打って、エイッと無理やり起きあがる。
行きたくない
伝えたくない
逃げ出したい
でも…そんな弱虫な自分に勝たなきゃ、アイツは私を認めてくれない。
――桐谷慎が欲しい。
彼の未来の全部が欲しい。
心も体も何もかも。
過去の自分と…
サヨナラするんだ。
しゅーちゃんの想い出も、ぬくもりも、記憶も
全部全部、捨ててしまおう。
全部あの場所に置いていこう。
桐谷慎が欲しいから…
私は今からしゅーちゃんを捨てに行く。
桐谷慎の…為だけに。



