「ちょ…、ちょっと待って下さいよぉ!!」
みんなが移動しはじめると
案の定、喜多川は慌ててこっちに走ってくる。
さっきまで詰め寄ってた伊織にはお構い無しだ。
それを見てシメシメと心の中でほくそ笑んでいると
「藤堂係長~!!
お先に失礼します!!ごめんなさい~!!!!」
背中の向こうから伊織の叫び声が聞こえてくる。
「うん!!高宮さん、ありがとうね!!」
『また明日。伊織。』
その言葉は心の中にゴックンと飲みこんだ。
その日は…
朝方まで喜多川達と飲み明かした。
チュンチュンとスズメの声が聞こえる時間にフラフラ酔っぱらいながら、目黒通りを歩いているとポケットの中のケータイがブルブルと震えた。



