あー、ヤバい。
このままコイツと一緒にいたら、変なコトを口走りかねない。
慌てて外に出ようとすると
「しゅーちゃん…っ!!」
泣きそうな瞳をして伊織は俺のスーツの裾をピンッと引っ張る。
は~ぁ…
まったくコイツは……。
「大丈夫、俺は大丈夫だから。」
「でも……!!」
「どんな答えを出されても受け入れる覚悟はあるさ。そんなに俺をみくびるな。」
伊織はさっきの自分の態度や言葉が俺を傷つけたんじゃないかと気にしてる。
「…しゅーちゃん……。」
「オマエが困るのを知ってて迫ったのはこの俺だ。伊織は…何にも悪くねぇ。」
そう言って。
俺はアイツの不安を取り除いてやれるように、ゆっくり喋って、ニッコリと微笑む。
「どんな答えをお前が出しても俺はそれを全部受け入れる。
伊織は…伊織の心のままに動けばいい。」
そう言って。
俺はスーツの裾を掴んでいる伊織の手をそっとほどいた。
もう…
ここまできたら腹をくくるしかない。
悔しいけど
ムカつくけど
俺の命運は目の前のカワイイ生き物に委ねられてる。



