「…しゅーちゃん…、ダ…メッ…!!」



広報部のヤツラをチラチラ気にしながら、俺の腕の中で暴れる伊織。



「…バーカ、ダメじゃねぇだろ??」




この俺を煽ったのは、オマエだ。


忘れてたのか?
俺はオマエを死ぬほど好きなんだぞ…?








どこまで行っても、ガキで自分勝手な俺。


コイツの顔を見た瞬間…
さっきまで考えてたオトナの恋愛観なんてアッという間に無惨に飛び散る。









会社や

世間や

地位なんて

全部捨て去ってもいい覚悟でオマエを求めた俺を忘れたなんて言わさない。






そんな…
子どもじみた独占欲が体中をかけめぐる。







「伊織…。」






柔らかくて、小さい、アイツのカラダを抱きしめて。
キスをしようと身をかがめると





「ダメ…ッ!!
みんなに見られちゃう…!!」






伊織はカラダをよじって俺から逃げる。








「大丈夫。ここは死角だから見えやしねぇって。」


「だ、ダメッ!!
見つかったらどうする気!!??」







は~、
このオンナは俺の覚悟ってヤツを理解してないのかね。







「あのなぁ。オマエはプロポーズまでするくらい好きなオンナなんだぞ?
誰に見られたって構いやしねぇよ。」





むしろ…
“既成事実”ってヤツができて、こっちは願ったり叶ったりなんだぞ??