「なんだか大変そうっスよね、桐谷部長。」
焼き鳥を頬張りながらノホホンと田中課長に話しかけると
「まぁな。
今回の会議は人事でモメてる…って噂だからな。」
田中課長はそう言って冷酒をクイッとノドに流し込む。
「えー?なんで桐谷部長が人事に巻き込まれてるんですか??
人事は人事部の仕事でしょ??」
喜多川がノホホンとこんな残念な質問をすると
「まあ…普通はそうなんだけどな…。
今回ばかりは仕方なかろう。」
そう言って。
田中課長は喜多川の頭をパコンと軽く殴る。
「桐谷はな。
今度の人事で東京本社の統括を任される…って噂だ。」
それを聞いた瞬間
「「…えぇぇぇーーーっ????!!!!!」」
課長の口から飛び出した仰天ビックリ発言に俺と喜多川は大パニック。
東京本社の統括!!??
そんなの…役職はどうであれ、事実上の重役じゃねぇか!!!!
統括ってことは東京本社のヤツラの中で社長や常務、専務を抜かせば…一番偉い人…ってコトだろ!!??
あの建物の中で一番偉い人が部長ってコトだろ??!!!
「ま…マジっすか…?」
真っ青になりながら訊ねると、田中さんは小さくコクリと頷いて
「……噂ではね?」
と呟いた。