部長がいなくなって。
一人きりになった地下室で俺は考えていた。
“ちゃんと理央ちゃんと向き合ってやれ”
部長はそう言った。
俺は…一ノ瀬に対して物凄く酷いコトをしてるって自覚はある。
だってそうだろ?
伊織は一ノ瀬の親友だ。
俺が伊織を追いかければ追いかける程、アイツはどんどん追い込まれていく。
口では“平気”とか言いながらも実際はすげぇキツイ気持ちと戦ってると思う。
友情と恋に挟まれて、きっと一ノ瀬は苦しいハズだ。
アイツはイイヤツだから。
すげぇすげぇ、イイヤツだからそんな苦しさはおくびにも出さねぇけど。
きっと…泣かせてると思う。
俺と伊織の目に見えないところで、俺は一ノ瀬を沢山泣かせていると…思う。
「はー。進歩ねぇのな、俺って。」
壁に背中を預けながら、俺は盛大にため息を吐いた。
伊織の時も、
亜美の時も、
俺は大事な人を必ずと言っていいほど傷つける。
大事にしたいと
誰よりも幸せにしたいと願うのに、いつも俺は大切な誰かを傷つける。
気づかないフリして、蓋を閉めてた俺のコンプレックス。
くそー!!
見事にあのオヤジはつついてきやがった!!!!
エスパーか!!??
伊織の言ってた通り、アイツはやっぱりエスパーなのか??!!