天使の顔したドSな悪魔。






オフィスにいる時の桐谷慎はクールで隙がなくて、冷静に、完璧に、仕事をこなす若きエリート。


目的の為なら手段を選ばない鉄の男は、一皮剥けばわがままでイタズラ好きの子どもみたいな男の人。






もう!!ズルい。
ズルいよ、桐谷慎。





そんなあなたのギャップにキュンときちゃうじゃないか。

こんな子どもみたいな側面を知ってるのは私だけなんだと思うと、変な優越感にひたっちゃうじゃないか。







「あ~。藤堂の引きつった顔が早くみたい♪♪」








フフッと少年のように笑う桐谷慎を間近で見ちゃうと、私の心臓は爆発寸前。

私の経験値の少ない心臓はドクンドクンと痛いくらいにはね上がる。






桐谷慎と2人きりの密室。
服ごしに感じる彼の体温に、鼻先をくすぐるHappyの爽やかな香り。







今思えば、あの時の私はどうかしていたとしか思えない。


きっと…
久しぶりの彼の体温とHappyの香りに酔わされたんだと思う。





何度思い返しても、顔から火が出そうに恥ずかしいし、何であんなことができたんだかわからないんだけれど。




私は彼にギュッと抱きつくと




「桐谷慎ばっかりズルい…。」






と呟いて。







「…お返し。」







彼の首筋にそぅっと唇を当てて。



彼の首筋に淡くて小さなキスマークを一つだけつけた。