オフィスの中でスレ違い様に桐谷慎が私の背中をつつくたび。

ニヤリと意味ありげに笑うたび。


私は昨日の夜を思い出してお腹の奥がキュウンとする。




獣みたいに私を欲しがって。
気持ちいいと呟いてキレイな顔を切なそうに歪める彼を思い出して、ジワッと何かが溢れ出す。





ダメだ。
こんなの最高の束縛じゃない。





キスマーク一つで私の心とカラダの主導権を握ってしまうだなんて。

キスマーク一つで私をあなたに溺れる、バカな女に仕立てあげてしまうだなんて。




給湯室でイタズラっ子みたいに満足そうに微笑む桐谷慎に向かって


『ズルい。“最高の束縛”ってこういうコトだったの??』


とブスッとしながら文句を言うと、



『そう。
どう?俺が背中を見つめるだけでも…、たまらなく俺が欲しくなるでしょ?』



桐谷慎はキリマンジャロを飲みながらクスッと呆れたように笑う。







『それでいい。
もっともっと俺に欲情してよ。
もっと乱れて、もっと求めて…誰も見たことのない高宮を俺に見せてよ……。』





そう言って…。
彼は誰もいない給湯室で私の唇に熱くて甘い、キスを落とした。