「ま…、伊織ちゃんはそういうお子ちゃまな所がカワイイんだけどねぇ…。」




目に浮かんだ涙をふき取りながら、桐谷慎はそう言って。
いとおしそうな瞳をして私の頭をペシンと叩く。




――え……??






桐谷慎の突然の行動に驚いて彼をジッと見つめていると。






「まったく。
無意識に二股かけられるくらい図太い神経してる女なクセに。」





桐谷慎は私の瞳を見つめ返すと私のオデコをピンッと弾いた。





「いたっ!!」



「……ったく。
答えも出てないクセに。
俺を繋ぎ止めたいが為だけに、SEXに誘うぐらいズルくてイヤな女なクセに。」




そう言って。
桐谷慎は私のホッペを両手でギュイ~っと引っ張る。





「いひゃい!!いひゃいよっ!!(イタイ!!イタイよ!!)」


「ウルサイ。
言っとくけどね。俺が高宮につけられた心のキズはこんなもんじゃないんだからな??
こんな痛みはガマンしなさい!!」





そう言って。
桐谷慎は私のホッペを縦にギュイっ、横にギュイっ、と思いっきり何度も引っ張る。