「その気になれないのなら……私がその気にさせてあげる。」
そう言って。
私は少し腰を浮かして彼の首に腕を回す。
誘惑するように、熱っぽい視線を彼に浴びせかけて。
しっとりとした彼の唇を覆うように、ゆっくりとキスをすると。
「そ~んなキスじゃ、全然足りないよ?高宮。」
と彼が言う。
「どうせやるなら、コレくらいしてくれないと…!!」
「………っ!!!」
彼はニヤリといじわるく笑うと私を抱きすくめて、強引に上を向かせる。
「教えてやるよ、高宮。
お誘いのキスはこうやるんだよ。」
はじめはついばむように
角度を変えながら
リップ音をたてながら
私の唇を堪能する桐谷慎。
そして…
忍び込むように
押し入るように
侵入し、口内を犯す彼の深い口づけ。
「…あ…っ、ふ…っ」
その官能的なキスに思わず漏れる切ないため息。
―― キモチイイ…。
バカな私はそれだけで頬がポーッと上気してしまう。
彼が歯列をなぞる度。
舌を絡ませ、舌先をくすぐる度。
体の奥がドンドン熱くなって、瞳がトロンと溶けていく。
そんな私を見てフッと笑うと
「わかった?高宮。
キスはこうやるもんなんだよ。」
悪魔な顔して、天使が微笑む。



