君を想うとⅢ~True love~


久しぶりに感じた桐谷慎のキスは…
少し淋しくて、少し切ない、涙の味がするキスだった。






ついばむように

試すように

触れるだけの、桐谷慎らしくないキス。






いつものあの強引で官能的で、火のついたようなキスじゃない。







でも……、それでも私は幸せだった。

バカな私は彼がくれる快感なら、なんだっていいと思えたの。


そこに、何の愛がなかったとしても。







そしてキスの余韻が残るなかでゆっくりカラダを離すと、


「高宮、俺は…別に好きじゃなくてもある程度のラインを越してくれてればHはできるし、キスもできる。
そんなイイカゲンな男なんだよ??」



真剣な顔をして。
桐谷慎は私にそっと問いかける。






「……知ってる。
尻軽オンナは嫌いだけど、すぐにヤれるオンナは好きなんでしょ??」


「……へーぇ、…よく覚えてるね…。」


「当たり前でしょ?
アレは人生の中でも3大ビックリ発言の一つだったんだもん。」





そう言うと、彼は呆れたように“そうなの??”と笑う。



そうだよ。
桐谷慎のセイで私の恋愛感はおかしくなったんだ。





それまでの私は、世間の人の決めた枠の中で、常識の範囲内でする恋愛が正しい恋愛なんだと思ってた。



人から後ろ指さされるような、倫理観から外れた恋愛には興味がなくて。


そんなモノに振り回される人達は…

不幸になってる自分に酔いしれて。
本当の幸せを見つけようとしない、バカな人達の集団なんだと思ってた。




本当に…そう思ってたんだよ??