その言葉を聞いた瞬間。
私の頭の中にはカァーッと勢いよく熱い血が流れていって。




気がつくと…
呆れたように冷たく笑う彼に向かって、私は一目散に駆け出していた。





ダメだ。
やっぱりダメだ。







やっぱり私は彼が欲しい。
欲しくて欲しくて堪らない。




浅ましくても、
醜くても、
誰に後ろ指さされても…、もういいや。





暗闇の中。
手探りで進む彼までへの道のり。


足や腰にガンガンぶつかる机に本棚。
だけどそんな痛みは、あの時の私にとってはどうでもいい問題だった。







「じゃあ…
私の寂しさ、桐谷慎の力で全部埋めてよ…!!!今すぐここで、私を抱いてよ……!!!!」







そう言って。
彼の胸の中に一目散に飛び込むと



「……あのなぁ。
その言葉の意味、ちゃんとわかった上で言ってる??」



呆れたように彼が答える。






「わかってる、わかってるよ…っ!!!!」







そう言って。
私は桐谷慎の大きな体をギュッとギュウっと抱きしめて。




「もう……!!
桐谷慎を繋ぎ止められるなら、なんだってするよ……!!!!」




号泣しそうになりながら一所懸命に彼のカラダを抱きしめていると、桐谷慎は諦めたようにハァーと深くため息をついて。






「高宮は…ダメなオンナだねぇ……。」







そう呟いて、私の頭を優しく撫でる。





そして…

彼は、私に

甘くて、

淋しい、

キスを落とした。