その瞬間。
一気に真っ暗闇に包まれた、資料室。



「キャッ……。」



突然現れた暗闇に、思わず驚愕の声を上げると




「なーんか違うんだよね~、最近の高宮。」



そう言って。
桐谷慎はタバコにシュボッと火をつける。




「俺が惚れたのはタフで、逞しくて、強くって。自分の運命は自分で切り開いていけるオンナ。一緒に戦える戦友みたいな高宮に猛烈に惚れたハズなんだけど……。
いつの間にかお前は流されてるだけのオンナに成り下がっちゃったねぇ。」





桐谷慎はそう冷たく言い放つと、フゥ~と紫煙を吐き出した。







タバコについた火から覗く彼の目は…
見たことがないほど冷たく、私を完全に侮蔑している目。





その視線には、愛情のカケラはどこにもない。
“どんな高宮でもいい”と言ってくれたあの優しさはどこにもない。




――怖い……。


素直にそう思った。
次に桐谷慎の口からどんな言葉が飛び出してくるのか、私はビクビクしながら彼を見つめていた。




そんな私を見てフッと笑うと



「ま…気がつかないフリも、もう限界かな?
正直、今の高宮にはなんの興味も感情もないよ。」




天使のような笑顔をみせて、桐谷慎はこんな悪魔な一言を口にした。