それは…
桐谷慎が私に初めて見せた、強い拒絶。




「俺たちのコト、深く考えてもないくせに安易に手を伸ばすな。」


「…え……。」


「悪いけどね。俺は状況に流されてるだけの、今の高宮には何の興味もないよ。
むしろガッカリする。」






そう言い切ると。
桐谷慎は繋いでいた手を放してスタスタと一人で歩き出してしまった。





「ちょ…、桐谷慎!!!」







暗闇の中、置いてきぼりになってしまった私。
私を置いて遠くに行ってしまおうとする彼に非難の言葉を投げつけようとすると、桐谷慎はクルリと正面を向いてこう言い放った。






「そこで一人でいるのが怖いならここまで歩いてくればいいんじゃない?」


「無理だよ…!!
足元が全然見えないんだよ?」