バレンタインデー一週間前。
いつもと違うのはそんな日付ぐらいで、俺と圭祐は日常通り平穏極まりない昼休みを過ごしていた。

ごく普通に教室の自分の座席に腰かけて、少し席の遠い圭祐は近くから椅子を引っ張ってきて俺の机に自分の弁当を広げる。ものを食う時だけやけにおとなしくなるそいつは、きらりと髪の毛で蛍光灯のひかりを反射させて見せた。

…そう、佐久間圭祐、こいつは金髪ヤンキーなのである。
不良と呼ばれる種類の人間がとにかく苦手で、
おちゃらけた雰囲気が気に入らず自らクラス委員長にまで立候補してしまうような俺が、

どうしてこんなのと一緒に飯を食っているのかというと。

「…どうした修二?…具合でも悪いのか?」

(うぐ)
「い、いや大丈夫。なんでもねーよ」

圭祐がとんでもなく"イイ奴"だから。