「な、高原っ」

突然瀬田くんの顔が間近にくる。
心臓がばっくんばっくん鳴っている。
それになんだかうまく息も吸えない。


や、やばい・・・死にそう・・・

「2人でさ、1時間目サボっちゃわない??」


え・・・・・??

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?


サ、サボりぃいいいい!?
しかも2人でぇえええええええええええええええええええええ!?!?


は、鼻血でそう・・・



まともに瀬田くんの顔が見れない。
目がおろおろしちゃう。


「え、さ、ささサボる??」

「うんっ」

「え、と・・・あ、と・・」


どどどどうしよう、
うまくしゃべれないよぅ。




「なぁんてね。嘘だよ、嘘!」

「へ?」


すっと瀬田くんが離れた。
かちこちだった体がふにゃんととける。

あははと瀬田くんの笑い声が聞こえた。


「なんか驚かせちゃったみたいで、ごめんな。」

「あ、いや、大丈夫・・・」

「走れば数学には間に合うから、急ごうぜ!」

「う、うん!!」


瀬田くんが走り出した。
あたしも自転車を押しながらそのあとを追った。



くるっと瀬田くんが振り返った。

「チャリ乗んないのかよ!!」


瀬田くんがまたきらきら笑ってる。

この笑顔、好きだなぁ。


「あ、あたしも走ってく!!」

「変なやつ」


一瞬見たことないくらい優しい笑顔をしていた。
瀬田くんはきらきら笑顔だけじゃなくて、
こんな笑顔もするんだ。


瀬田くんを少しだけ独り占めできた気がして、
胸がきゅんとした。