そういえばコイツ、オレが話しかけた時言葉濁しよったな。不意に頭に過ぎった疑問を和紗に投げ掛ける。

「なぁ。ちょっと訊くけど、オレが話しかけた時オマエ言葉濁したやんな?」

 もしかしてオレに気ぃ遣たんか? と訊くと和紗は頷いた。

「今は雪和の話とか聞きたないかなって」

 やっぱり予想した通りか……ちゅうか、見せつける様に彼女とイチャつきまくっとった奴が今更何言うてんねん、って話しやな。

「変に気ぃ遣うなや。つか、オマエに気ぃ遣われたらオレ余計に惨めったらしいやんけ」

「え? なんで?」

「……“なんで”て」

 とぼけてんのかそれともホンマにわかってないんか……多分コイツの性格上、後者やろうな。

「オマエはゆきなちゃんの“彼氏”やろ? そのオマエに気ぃ遣われて、全然フォローになんかなるかい」

「え……あ、そっか。そうやんな。……ごめん」

「謝んなや。別に怒ってるんちゃうんやから」