新しい年が明けてから早一週間――。

 失恋の痛手は未だ残るものの、ずっと引き摺っててもしゃーない。

 オレは相変わらず、バイトに明け暮れる毎日を送ってる。

 変わった事といえば、和紗の曲を流してから明らかに集客数が増えてる事。

 直接、売り上げに繋がらなくても確実に“ポーラスター”の知名度自体は上がっている。

「――……はい、しばらくお待ちください。店長ー、お客様いらしてます!」

 店内に響き渡るような声で店長を呼ぶ唯の後ろに、まるで授業参観か保護者会に出席しそうな華やかな色のスーツを着た女が立ってる。

 相変わらずといえば、唯も相変わらず頑張って働いてる。

「なぁなぁ、唯。あの女の人、店長に何の用なん?」

 さっきの女を無事に店長に引き合わせ、レジカウンターに戻って来た唯に好奇心で尋ねる。