leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~

「……もしかして気にしてる? 昨日の事」

「……っ!」

 突然核心をつく唯の言葉に、オレの手がびくっと止まる。

「気にしてくれてるんだ?」

「お前な。気になんの当たり前やろっ。いきなり、あ……あんな事してきて。一体どういうつもりやねん?」

「……したかったからよ」

 目線を下にしたまま、手の動きは休めずに唯は続ける。

「キスしたかったからしただけよ。それ以外に何かある?」

「し、したかったから……って」

「ありがとう。おかげで早く片づいたわ」

 そう言って唯はさっさとダンボールに商品を梱包していき、話を勝手に切り上げようとする。

「ちょ、ちょう待てって。どういう事やねんな?」

 したかったからしたって言われて『はい、そうですか』なんて言えるか。しつこく言及するオレをチラリと見ると、唯は溜め息をひとつ吐いた。

「何よ。あたしが誰にでもあんな事してるのかって言いたいわけ?」

「や。そういうワケちゃうけど……」

「はぁ…………あなたってほんっと、鈍感ね! 好きだからに決まってるでしょう?」