leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~

「お疲れさまっす」

 事務所にいる店長に声を掛け、店内で作業に入る。

 唯も当然、店内にいて今は接客に忙しそうやった。

 遠目にはなんら変わったところはない。いつもと同じに見える。

「……っと。仕事仕事!」

 気付いたら昨日の事を思い出してる。こんなんじゃアカン、と仕事に集中させようと、呪文の様に自分に言い聞かせる。

 でも、やっぱりわからへん。唯はどんなつもりであんな事……。

 意識が考え事に向っていってた時――

「あら。小野くん、来てたの?」

「う、うわ!?」

 後ろから声を掛けられた事もあり、派手に驚いてしまった。

「なによ? そんなに驚く事ないじゃない?」

「あ……えと」

「ねえ。急ぎの仕事ないならこっち手伝ってくれない?」

「お、おう……」

 いつもと変わらない様子の唯。昨日のキスはオレの夢やったんかと思うくらい、普段通り。

 黙々と作業する唯を盗み見る。なんや気にしてんのオレだけか。ただ振り回されただけ……? 

 ぐるぐると考え事してると、作業の手を休めることなく唯が話しかけてきた。