leicht bitter~bitter sweet続編 side 健一~

「ゆ……い? いまの?」

 まだ唇には唯の熱が残ってる。
 なんで唯がオレにキスなんてするんや? 

「ここまででいいわ。送ってくれてありがとう。小野くんも早く帰らないと風邪引くわよ?」

 未だ思考の定まらないオレを残して、唯の姿はどんどん小さくなっていく。

「なんで……キスなんか……?」

 もう随分と姿が見えなくなった背中に問い掛ける。

 オレは、そのまましばらく立ち尽くすしか出来ひんかった。







「あ~……体だるい」

 結局あの後立ち尽くしていたせいか、少し風邪っぽいだるさに襲われた。

 熱はないし、だるいだけ。

 これくらいやったら風邪薬さえ飲んでれば、大学にもバイトにも問題なく行けそうや。

 バイト……。今日は確か唯と同じシフトやったはず。

「……どんな顔して会えばええねん」

 昨日の今日で顔めっちゃ合わせづらいけど。

 …………うん。仕事や! オレは仕事に行くんやから、それに集中してればええ。よし、そうしよう!