籠のなかの花嫁

館内に入ると、予想どおり客が少なく、チケットを買ってすぐに劇場に行くことが出来た。



映画は『皇帝ペンギン』のような動物のドキュメンタリー映画。



「学校の友達も見たりすんの?こういうの」


「あたしの友人達の話題映画は、これよりも『secret』ですよ。今人気の俳優さんと女優さんが出てるやつ」


「だよなぁ。女子高生は好きだもんな、そういうベタなラブストーリー。お前は好きじゃないのか?」


「ラブストーリーは嫌いじゃありませんけど、俳優が好きじゃないんで」



売店で買ったパンフレットを見ながら、答える美羽。



元々が外で遊ぶ元気な娘だったせいか、今でもベタなラブストーリーよりも動物や、サスペンス映画、ヒューマン映画の方が好きなのだ。



おまけに俳優の好みも、友人達とは異なる。




「じゃぁお前はどんな俳優が好みなんだ?」


「演技力も見ますけど、若い子が騒ぐような人はあまり好みには入りませんね。ただ、歌手は別ですけど・・・」


「歌手?」



パンフレットから顔を上げた美羽はバッグから携帯を取り出した。