「あぁそれから・・・」



美羽がベッドに横になった時、お粥の器を下げに行こうとした晴太が、ドアの方に顔を向けたまま声をかけてきた。



「・・・何ですか?」


「昨日言ったこと・・・返事とかは別に求めてないが、忘れんなよ」



意識を失う直前に聞いた、晴太からの告白。



今の今まで、晴太が何も言わないのなら、あのことは忘れようと思っていたところだった。





「どうしてあたしなんですか?あな・・・晴太さんのお母様から聞きました。花嫁候補はあたしの他にもいたと」



2週間たってから、あたしを選んだと聞いたけど、その間に何をしてたのかも気になる。



「はぁ・・・ホントおしゃべりだなぁ」



晴太はため息を吐いて目頭を押さえた。



「どんな人がいたかは知りませんが、少なくともこんな面倒臭い子どもはいなかったんじゃないですか?」


フッと力なく笑う。



すると、晴太は器を棚に置きベッドの傍へ来てしゃがんだ。



「何でだろうな?だが、あの中で一番興味を持ったのは間違いなくお前だった。だから、お前を選んだ」


「でも、今は?実際にあたしと出会って、後悔してるんじゃないですか?」