籠のなかの花嫁

「とりあえず、おめでとう。良かったね梨奈」


「うん、ありがとう!惚気話付き合ってね」


「・・・・・・・・・・・・」


「え、無視!?」




吹き出す美羽に拗ねる梨奈。



喫茶店にいる時間は終始和んでいた。




────────────・・・



「そろそろ出よっか?」


「そうだね。暗くなってきたし、美羽気を付けて帰ってよ?」


「これくらいなら大丈夫。出よ?」




そう言って立ち上がった時、ふいに窓の外の人影に目がいった。



今、誰かがこっちを覗いてた?



一瞬しか見えなかったが、確実に見えた。




──────────誰?




美羽は目を細めて見ていたが、隠れた人物はまるでいないと思わせるほど、何も見せない。




気のせいだったのか・・・?




「美羽?」



梨奈の声で、ハッと我に返った。



「恐い顔してどうかした?」


「ううん。別に何でもない」



梨奈も窓から見てみたが、特に変わらない街並みや人しかいない。




何か見えたのかな?




美羽の後ろ姿を見ながら首を傾げる梨奈だった。