メールや、食事に誘ったりもしたそうだ。



「食事の時って、お金は?」


「もちろんあたしが払おうとしたよ。誘ったのはこっちだからね。実際、何回目かに行った時に、一回払ったこともあったの」


「それで、彼は何も言わないの?」


「ううん。怒られた」


「怒られた?!」



驚くあたしを気にもせず、黙々とパフェを食べる梨奈。



「何で怒るの?」


「彼が言うには“年下のしかも女性に奢られるなんて男が廃る”なんだって」


「男が廃るって・・・そんなのただの自己満足じゃん」


「うん・・・それに、あたしが誘ったんだからってことも言ったの。でもそしたら蒼司さんこう言ったの」



“確かに俺は誘われてる側だけど来たくて来てるんだから、お金ぐらい俺に払わせてよ”



その場面を思い出したのか、フフッと笑った梨奈。



その顔は、とても幸せそうな笑顔だった。




“来たくて来てるんだから”


片思いの女の子には十分すぎるほど嬉しい言葉だ。



言い寄って、迷惑と思われてたらどうしよう?嫌われてたらどうしよう。



片思いにはそんな不安がいつも付きまとう。



けれど、そんな“来たくて来てる”と言われれば、誰だって嬉しくて飛び跳ねてしまうものだ。