籠のなかの花嫁

その日、美羽が作ったのは簡単な野菜サラダとカレーライスだった。



「頂きます」



晴太が先に席に着いて、美羽が晴太の分と自分のを盛り終わると、食べ始めた。



「頂きます」



美羽も食べ始める。




シーンと静まりかえるリビング。



しかし、ただ静かなのではなく、雰囲気の悪い静けさだ。



すると、それに耐えかねたのか、晴太は口を開いた。



「美味いよ」


「・・・そうですか。ありがとうございます」



一拍おいてから答える美羽。その顔は、真顔だ。


その上、晴太に視線を向けることなく言うため、冷たさが更に増す。



晴太はスプーンを置いた。



「さっきは本当に悪かった」


「もう気にしていませんから」



そう答えると、ため息が聞こえた。



「めちゃくちゃ気にしてるだろ?」


「別に・・・」


「じゃぁ、俺の目を見ろ」



そう言われ、美羽は晴太の目を見た。



初めて、正面から見たかもしれない。



そう思いながら、見ていると



「さっきは悪かった」



再び謝ってきた。