妹の美羽は活発でいつも外で走り回るお転婆だった。



しかし姉の美鶴は身体が弱かったため、中々美羽のように毎日外に出て遊ぶことは出来なかった。



それでも、姉妹はとても仲良く両親もそんな二人を穏やかに見守っていた。




美羽が4歳、美鶴が8歳の時に二人は始めて海外へ旅行へ行った。



行き先は、両親には想い出深い場所だと言うポルトガルだった。



裕一はワイン好きで、純麗は花が好きだったため、ポルトガルの中でも、マデイラ諸島のフンシャルには二人が生まれる前に、何度も旅行へ来ていた。



しかしポルトガルのリスボン空港に到着してからの二人の第一声は



『ひこうき、もうのりたくないな〜』


『のりたくなーい』



だった。


どうしてかは聞かなくとも分かるので、両親は顔を見合わせて苦笑いをした。




それもそのはず、日本からポルトガルまでの飛行時間は二人にしてみれば夜寝ている時間と同じくらいか、それ以上だ。



ただでさえ、美羽はジッとしているのが退屈なため、飛行機の中での睡眠時間以外は嫌で嫌で仕方なかったのだ。



飛ぶのを怖がるかと思っていた両親も、二人が余裕な顔で乗っていたのには少々驚いた。



しかし、時間が経つにつれ二人(特に美羽)の顔の表情が退屈そうなだらけたものになっていったのを見て、何か絵本でも持ってくれば良かったかと思ったのだった。