3日後────────



「ではこれで」


「あぁ、ご苦労さまでした」



新しい部屋で荷物を整理している後ろでされている会話。



そして近づいてくる足音。



「お前もご苦労さん。疲れたろ?何か飲むか?」



この家の家主であり、美羽の見合い相手でもある、豊川晴太。


美羽よりも11歳上の、29歳。



「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」



そんな晴太に半分振り返って、足元を見て美羽は言った。



「・・・何か、手伝うか?」



そんなよそよそしい美羽の態度に引き気味の晴太。


それでも、どうにか美羽に近づこうとする。


しかし、今の美羽にはそんな晴太の思いが通じるはずもなく・・・



「いえ。豊川さんはあちらで先に休んで下さい。あとは自分で出来ますから」



そう言って、また手を動かす。



「・・・・・そうか」



そう一言呟くと、晴太は静かに出ていった。




最後に、一度美羽を振り返ったとは知らずに、美羽は黙々と作業を続けた。