籠のなかの花嫁

その言葉を聞いて、美羽は身体中の血液がものすごい勢いで巡る感覚に襲われた。



そして、後ろ姿の叔父に背後から襲い掛かろうと振り返った瞬間




バタンッ───────





「おぉ、晴太くん。待たせて悪かったな」


「いえ」



晴太が飛び込んできた。




そして叔父がいなくなると、その場に座り込みそうになった美羽を受け止め抱き上げた。




「何も出来なくて悪かった」


「・・・あの人は、あたしだけじゃなく、あなたをも利用しようとしてる。自分の会社を大きくするためだけに・・・・・欲深すぎる」


「気にするな。俺は美羽といられれば、それでいいんだ。お前もだろう?」


「だけど・・・・・」


「確かにお前を侮辱したのは許せないよ」



聞いてたんだ。


そう思うと恥ずかしくてたまらない。


自分だけでなく晴太をもバカにしたような言い草には腸(はらわた)が煮え繰り返る思いがした。




「だが、美羽が望むのならいくらでも作ってやるよ。昼の仕事よりもそっちの仕事の方が熱心だろうな」



晴太の発言に美羽は体まで真っ赤になったのだった。







「俺に全て任せろ。俺がお前を籠から解放してやるからな・・・」



鋭い瞳でそう言う晴太の言葉に美羽は首を傾げるしかなかった。