そしてパーティー当日────



自室で準備をしているとドアがノックされた。



「はい」


「入るぞ」




そう言って入ってきた晴太はすでに支度を整えていた。



シックなダークスーツにこれまた黒のコートを着ている。




「晴太さんて、私服も黒ばかりですよね」


「・・・・・悪いかよ」



またムスッとなる晴太。



「いいえ。似合ってますよ」


「・・・・・・・ホントそういうとこ生意気だよ」



今のは聞かなかったことにしておこう。



晴太の呟きを無視すると、晴太は美羽の傍まで寄ってきた。



そして気が付いたように言った。




「婚約指輪、しっかりはめろよ」


「あ、はい」



晴太の右手はわざとらしくぶらぶらしていた。



まるで、その薬指を見せ付けるかのように。




いつも右手はズボンのポケットに入れてるくせに。




晴太の子どものようなところを見て、美羽は気付かれないように笑ったのだった。