「あたしは・・・」



落としたケーキを拾いながら、ブツブツ言う梨奈。




好きな人はいるけど、片思いって感じか。




「アプローチすればいいんじゃない?」


「へっ?あたし何も言ってないでしょ?」


「顔が言ってる」



そう言えば、手で顔を覆う。



天然てこういう子のことを言うのかな?



美羽がフフッと笑うと、梨奈は“なによ〜”と指の間から目を覗かせてそう言った。




「なにも」




一言そう返して、残っているケーキを口にした。





なにも。


なにも望まない。


だから、もうあたしから何もとらないで。


いや・・・とるものなんか、もうないか・・・


全てとられたあたしに残ったのはお金だけ。


でもそれだって、あたしの計画を成し遂げるためには必要不可欠なもの。


この計画だけが、あたしのこれからの人生の再スタート。




絶対に誰にも




邪魔はさせない














誰にも───────────