籠のなかの花嫁

その頃家では、晴太の帰りを待ちわびているはずの美羽が、慌ただしく晩ご飯の準備をしていた。



明日の晴太の誕生日のためにプレゼントを選んでいて、すっかり帰りが遅くなってしまったのだ。



「ヤバイ。もうすぐ晴太さんが帰ってくる」



時計を見ながら焦る美羽。


すると



ガチャッ



「え、嘘・・・・・」



玄関のドアが開く音がした。


そしてリビングに近づく足音が聞こえ



ガチャッ



「ただいま、美羽」


「あ、お帰りなさい。晴太さん」



まだ帰ってきてほしくなかった相手が、帰ってきてしまった。




「ごめんなさい。まだご飯が出来てなくて・・・」


「本当だ。珍しいな。帰りが遅かったのか?」


「はい、まぁ」



曖昧に答える美羽に、晴太も特に気にとめず“そうか”とだけ言って、自室に行った。




今のうちに用意しなきゃ。




晴太が着替えてくる間に、美羽は急いで準備をしたのだった。