籠のなかの花嫁

─────────────・・・


「ありがとうございました」



店内に入り2時間。


悩んで悩んで漸く出てきた晴太は幸せな表情・・・ではなかった。



婚約指輪も買って準備は出来たものの、どうやっていつ渡したらいいんだ?


パーティーで渡すのか?

それとも前日か?

いやそもそも美羽はパーティーに行くだろうか・・・?



一つため息を吐く。



無理やり連れていくのは気が引ける。


美羽はあの夫婦に会いたくないんだ。



柊のバーに行ってアドバイスをもらってから、美羽の過去の詳しい調査を依頼した晴太。



その報告がさっき届いたのだ。



そのおかげで、美羽の今までの人を過剰に拒絶する態度や、見合いを嫌がった理由がよく分かった。




俺も出来れば、あの夫婦に美羽を会わせたくない。




だが、パーティーに出席しないわけにはいかない。


パーティーの主役が揃わないのはやはりパーティーを開く意味がないし、来て頂く方々にも失礼だ。



「はぁ・・・正直に話して美羽に決めてもらうのが一番かな」



小さく呟いてから、晴太は待たせている車のもとへ戻っていった。