『おば様、どうぞ』


『・・・なに?』


『今日は、母の日だから』



ある部屋にいるのは、美羽と叔母の瞳だ。



これは、あたしが小学生の時?


しかも、まだ2年生くらいの・・・。



あたしはニコニコしながら花束をおば様に渡そうとしている。



あの頃のあたしは、どれだけおば様に避けられようと、いつかは振り向いてくれると信じてた。



希望があると信じてた。




『私はあなたの母ではないわ。そんなものいりません』


『本当のお母さんじゃないけど、おば様はあたしのお母さん代わりだもん』


『・・・・・いらないわ。私は忙しいのよ』



そう言って、瞳はソファーから立ち上がると美羽に背を向けて去っていった。




残された美羽は、悲しくて涙をポロポロ溢した。






今思えば、小さい頃は無駄に自分を傷つけていた。


諦めれば楽なのに、淋しさをどうにかしたくて、必死にあの二人に縋(すが)った。


それが、自分を傷つけると分かっていても、諦められなかった。



自分が必要とされていないって思いたくなかった。