籠のなかの花嫁

近づく足音が段々大きくなると、リビングのドアが開いた。



｢ただいま｣


｢あ、お帰りなさい｣



台所からリビングに行ってみると、紙袋を両手にいくつもさげた晴太がいた。




何を、買ってきたの･･･？



目を丸くして見ている美羽を晴太はソファーへ促した。




晴太はドサッと紙袋をテーブルに置くと、中からプレゼント用に綺麗に包装された箱が次から次へと出てきた。




｢な、なんですか？｣




あ、これ･････



美羽はそれらが入っていた紙袋を見て、ようやく分かった。


紙袋には、『MICHELE』の文字が。



そして、全て出してからようやく晴太は口を開いた。



｢さっきは本当に悪かった。本気で怒らせたこと、すげぇ後悔してる｣


｢別に、もうい･･･｣


｢良くねぇよ｣


｢晴太さん･････｣



いつかのケンカの時と似たようなやり取りになっている。


美羽が黙ると、晴太は俯きながら話だした。



｢俺、ようやくお前と仲良くなれてきたかなって思ってたんだ。だから、その関係を壊したくない｣


｢でも、だからってこんなに服を買ってきても｣



何だかもう、どうでもよくなってきた。