別にいいのに・・・



美羽の表情があからさまに暗くなったのを見て、晴太は焦った。



実は今日のコレは、同僚の若林が考えたことだった。



《女子高生なら、服とか買ってあげたら喜ぶんじゃねぇの?俺の妹も高校生の時は毎日ファッション雑誌見てたしな》



全然喜んでねぇよ!

ってか、思いっきり迷惑がってるし。



どうすればいいのか分からず、ため息をこぼす。



「あ、あの、すいません。別に嫌な訳じゃないんで・・・」


「そんな顔されて言われたって説得力ねぇよ」


「すいません・・・」



また悲しそうな表情をする美羽。




「俺はそんな顔をさせたいんじゃない。ただ、お前が喜ぶことをしたいだけだ。だが、それが分からないんだよ」



顔を上げれば、晴太の方は途方に暮れたような表情をしていた。



あたしだって、あなたにそんな顔をさせたいんじゃない。


別に家でのんびり話してるだけでも、あたしは満足なのに、晴太さんは何かモノじゃないとダメなのかな?



そして、小さくため息を吐くと、“じゃぁ”と切り出した。



「ここの中にある、アイスが食べたいです」


「え、アイス?」


「はい。種類が豊富でとっても美味しいって大人気なんですよ!」