18年前──────────



『オギャア、オギャア!』



中宮家に二人目の娘が誕生した。



『純麗、よく頑張ったな。ありがとう』



病院の一室で、この一家の大黒柱、夫の裕一は安心したように妻にそっと言った。



『こちらこそありがとう。・・・美鶴、妹よ』



長女の美鶴は4歳。



母の隣で眠る、始めて見る小さな温もりを満面の笑みで見つめている。



指を差し出せば、美鶴よりも小さな指でキュッと握った。



『名前・・・考えたんだ』



裕一はおもむろに封筒を取り出した。


中から半紙を取出し、字が書いてある方を、純麗に見せた。



『これ、なんてよむの?』



美鶴が首を傾げて母に尋ねると、純麗は微笑んで答えた。



『これは美羽(みう)と言うの』


『美羽?』


『そうだ。美鶴の“美”と同じ漢字だぞ!』


『ホント?!いっしょだねぇ♪』



まだ目も開けていない自分の妹に優しく語り掛ける美鶴を見て、両親は笑みをこぼした。