「マリアもええ匂いやろ?」
「え」
また悟が赤くなり、レイコさんに笑われた。
「保健室ってこういうとこやったんか」
「あはは、からかってゴメンゴメン。私と藍とは特別仲がええねん。あの子去年一時期体調崩して、ようここへ来とったから」
「ああ…」
藍が震えるような声で「男の子が怖い」と言ったのを、悟は思い出していた。
いつもの明るい笑顔とはギャップがあり過ぎて、あの声が現実だったのか夢だったのかわからなくなる。
「いろいろと聞こえてしまったかな?」
彼の表情を読み取ってレイコさんが訊いた。
「いや…熱でぼーっとしとったから、あんま聞いてへんかったス」
悟はそう答えた。



