それから藍は椅子に腰を掛け、ふと事務机の上に開かれたノートに目をやる。
そこには保健室で手当てを受けた生徒のクラスや氏名、症状が記入されていた。
―1B・岩崎悟・発熱―
「え、この子? 寝てんの」
「うん、そうやけど?」
藍は無遠慮に衝立の向こう側のベッドに近づくと、眠っている生徒の顔を覗き込んだ。
「やっぱ悟や」
「知ってる子?」
「うん、友達の彼氏」
昨日雨に打たれたからだ…と思う。
ベッドの中の悟は真っ白な布団に包まれて顔だけちょこんと出し、微かな寝息を立てていた。
額の汗に前髪がへばりついて、熱のせいか頬がほんのり赤かった。
悟の、こんな無防備な顔は見たことがない。



