保健室の扉を開けると、消毒液の匂いではなくコーヒーの香りがした。
一階にあるこの部屋は窓の外が花壇に面しており、季節によっては窓一面が緑色になる。
今は冬なので色彩も乏しく寒々としているが、それでも裸の木々の枝の間から差し込む日差しは柔らかく心地よい。
「よかった、レイコさんおった」
「お、藍どうした?」
「うん、遊びに来ただけやで。絆創膏頂戴な」
藍が勝手に薬箱から絆創膏をゲットし、左手の人差し指の腹にくるっと巻く。
「やっぱ温いな、この部屋は」
「今熱出した子寝てるから、ちょっとヒーターの温度上げてるねん」
「あ、ほんなら静かにせなあかんな」
藍が小声になってそう言った。



