去年の夏、大学生との恋が終わってから、藍は一時期過呼吸の発作に悩まされた。
過呼吸といっても臓器に異常があるような病気ではない。
息が早く浅くなり、呼吸が上手く出来ずに苦しくてパニックを起こす……誰でもなり得る症状の一つだ。
藍はその頃よく過呼吸の発作に襲われた。
別に泣いたり嫌な記憶を思い起こさなくても、不意に息が苦しくなった。
呼吸が上手く出来なくなり死ぬかと思うほど苦しいのだが、三十分もすれば治まる。
精神的ストレスに起因するらしく、藍はいろいろと参ってるのだろう、というのが養護教諭のレイコ先生の見解だった。
授業中でも休み時間でも突如訪れる発作の前兆を察知すると、彼女は即保健室に向かった。
クラスメイトの前で発作が起きてパニクるのは、やはりどうしても恥ずかしかったのだ。



