エレクトーンのレッスンが終わって建物を出ると、外は雨が降っているようだった。
アーケードに守られた商店街の隙間から、藍は細い路地を覗いてみる。
「うわ、結構降ってる。予報ではそんなん言うてなかったのに」
不意に悟の顔が浮かんだ。
(まさかな…。帰るって言うてたし)
それでも藍は通りを早足で歩き出した。
途中の可愛い雑貨屋で500円の傘を買う。
橋の真ん前の信号で引っ掛かり足を止めると、屋根が途切れた橋の上はそこだけ傘を差して人々が行き交っており、急な雨にパフォーマー達は姿を消していた。
「あ」
そのときずぶ濡れで佇む悟の姿が目に飛び込んで来た。
もはや往来の人々には背を向けて、彼は橋の欄干にもたれ、冷たい雨に白く煙る水面をぼんやりと眺めていた――



