その週末の日曜日――
難波から心斎橋へと向かう雑踏の中を、藍は一人で歩いていた。
人込みは苦手だ。
いつもなら商店街を避けて御堂筋を行くのだが、今日藍はアーケードの中の靴下の専門店に立ち寄るつもりでいた。
(前に見つけた可愛くて安いやつ、マリアとユキにも買ってあげよっと)
不意にアーケードが途切れ、引っ掛け橋と呼ばれる橋に差し掛かる。
橋の上は大勢の人の流れに加え、キャッチセールスやらパフォーマーやらでごった返していた。
人待ち顔の者も多い。
橋の欄干にもたれ、行き交う人々をじっと眺めている若い男に藍の目が留まった。
「え、悟?」



