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藍が来たとき、保健室にレイコさんはいなかった。
ガランと、誰もいない部屋の奥には薬剤の入ったスチール製のロッカーがあり、その横にある大きな窓の下に、藍はペタンと座り込んだ。
校庭の花壇に面したその窓は、今の季節、枠いっぱいに草木の緑が生い茂り、その隙間から美しい光が射してくる。
(悟があんなに一生懸命卓球頑張ってるなんて…全然知らんかった)
熱くひたむきに、悟はボールを追っていた。
汗を滴らせ、ときに苦しげに顔を歪めながらトレーニングを続ける。
その姿を見ているうちに、ずっと目を背けてきた彼への想いが、どっと藍の胸に押し寄せてきた。
「悟が好き…」



